消化器を専門にしようと考えている若いドクターへ

2013年5月21日

消化器を専門にしようと考えている若いドクターへ.

【肛門を診察しよう】

 将来,消化器内科に進むことを考えている若い先生達は,

肛門の診察は外科に任せれば良いと思っていませんか.

外科が診るから,自分たち消化器内科は肛門を診なくていい,と考えていませんか.

そうであれば,是非考え直して下さい.

もし外来で「のどが痛い」という患者さんが来たら,どうされますか(図1).

 

皆さん,舌圧子を用いてのどをみる,ということをされていると思います.
まず,『目でみる』が基本です.

 

では,外来で「肛門が痛い」という患者さんが来たら,どうされますか(図2).

 

肛門をみないで外科にまわしますか?

すぐに外科医がみてくれればいいですが,数日後となれば,

それまでの間,患者さんは不安ですね.

「のどが痛い」という患者さんと同じです.

まず,『目でみる』が基本です.すなわち,肛門をみてあげることです.

 

肛門も大事な消化器の一部です.

この病変はどうでしょう(図3).

高分化扁平上皮癌です.

この病変は外側にできていますので,直接肛門をみることで,診断ができます.

内視鏡で直腸の中だけみていても見つかりません.

では,これはどうでしょうか(図4).

 

外からみると,白い部分がはっきりと明確にわかりますが,

内視鏡検査ではよくわかりません.反転しても見えません.

この白い部分を切除したところ,Bowen病でした.

このように,内視鏡検査では見つけることが困難な肛門病変がある,

ということをおわかり頂けたと思います.

内視鏡検査を予約する前に,まずは肛門診です.

20年以上外科医をやって,たくさんの肛門を診察してきた私達でさえ,

診断に悩む肛門病変があります.

奥の深い分野です.日々勉強です.

でも,日頃から肛門の診察をやっていなければ,いつまでも何もわからないままです.

肛門の診察は,外来で簡単にできます.

診察して,判断が難しい場合は,遠慮なく外科医に相談するなり,紹介すればいいことです.

大切なことは,まず自分で診察することです.

千里の道も一歩から. 始めてみて下さい.

松田

 


Posted by 帝京大腸.com|帝京大学医学部附属病院下部消化管外科 東京都板橋区 at 10:41 / ニュース & トピックス コメント&トラックバック(0)

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