せん妄って何?
2013年11月25日
手術後の合併症の中に,「せん妄」というのがあります.
せん妄とは,専門書によると“意識障害の一種であり,覚醒水準の軽度の低下を背景に意識の内容が変化し,注意力,集中力,記憶力,判断力,見当識などが低下する病態”とあります(神経・精神疾患診療マニュアル,日本医師会雑誌 142:S122-123,2013).
簡単に言うと,意識がおかしくなって,ぼけてしまったような状態になることです.
私達外科医はしばしば術後せん妄に遭遇します.
どんな方がせん妄になりやすいかというと,高齢者です.
私達の検討で75歳以上の患者さんと未満の患者さんで比べた場合,75歳以上でせん妄になる確率がずっと高い,という結果が出ています(胃と腸,47:1781-1788,2012).せん妄になると会話が成立せず,こちらの話を理解してもらえず,患者さんが転倒することもあり注意が必要です.
幸いなことに,ほとんどの場合数日で意識が戻ります.
食事を開始して通常の生活リズムになると,意識も回復して,手術前と同じような会話ができるようになります.
私達医療者が少し安堵できる瞬間です.
せん妄以外にも,数多くの合併症があります.私達外科医は決して手術だけをしているのではなく,むしろ手術のあとの患者さんの合併症対策に多くの労力を割いています.
松田圭二
Posted by 帝京大腸.com|帝京大学医学部附属病院下部消化管外科 東京都板橋区 at 10:58 / ニュース & トピックス コメント&トラックバック(0)
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