CT colonography
大腸に空気を注入し,最新のマルチスライスCT装置(図1)を用いて撮影することで,大腸の3次元画像を簡単に得ることができます.一回のCT撮影で,通常のCT画像はもちろん,コンピューター処理によってバーチャルの注腸画像(図2),大腸内視鏡画像(図3),大腸切り開き画像(図5),血管画像(図6)が得られます.この精度は高く,CT colonographyで得られた仮想の大腸内視鏡画像と実際の内視鏡で撮影された画像が良く似ていることがおわかり頂けると思います(図3と図4).
(図1)CT colonography撮影に用いられるCT機器
(図2)CT colonographyの
注腸画像
(図3)CT colonographyの
内視鏡画像
(図4)実際の内視鏡画像
↑両者を比べるととても似ていることがわかります↑
(図5)CT colonographyの大腸展開画像
(図6)CT colonographyの
血管画像
手術前の検査で,病変が患者さんの身体のどの部位に存在するのかを把握しておく必要があります.さらに,手術でどの血管を処理するのかを事前に計画することが重要です.血管の走行は人によって千差万別です.以前なら身体に侵襲の大きい血管造影検査をしなければなりませんでしたが,今はCT撮影だけで血管の状態が把握できます.
手術前にCT colonographyを行うことで,大腸の病変の客観的な部位や病変に関わる血管の詳細な情報を得ることができ,安全で確実な手術が可能になります.繰り返しになりますが,腸の長さ,形,血管の走行などは千差万別であり,人によって大きく異なります.
見知らぬ土地を旅するときに,地図をはじめとして多くの情報を事前に得ておくことで,より早く確実に目的地に着くことが出来ます.何の情報も持たずにいきあたりばったりで行ってしまうと,迷ってしまったり,違う場所に着いてしまったりします.もちろん旅行であればそれも一興ですが,手術ではそうはいきません.CT colonographyで重要な情報を得ておくことが,安全で確実な手術へつながるものと考えます.
また,最近では検診にも用いられるようになってきました.今後もCT colonographyの重要性はますます増していくものと考えられています.
● 検査の流れ
細いチューブを肛門から僅かに挿入し,空気を注入することで大腸を拡張させます.手術前の患者さんに対しては,造影剤注入前,注入して約10秒後,注入して約40秒後,の3回撮影します.一回の撮影時間は10秒程度です。
上記の一連の操作は,約20分ほどで終了します.
『お疲れさまでした! ご苦労様でした!』
画像処理
撮影したCT画像データを,コンピューターにて画像処理を行い,様々な有益な画像を得ることができます.
作成した画像を動画でお示しいたします(動画1,動画2).
動画1,CT colonography(※無断転用を禁じます)
動画2,CT colonography(※無断転用を禁じます)