治療関連
質問3>
1. 腹腔鏡下手術の長所と短所を教えて下さい.
2. 直腸癌に対する術前化学放射線療法の長所と短所を教えて下さい。
質問1: 腹腔鏡下手術の長所と短所を教えて下さい.
長所
1.傷が小さい
2.痛みが少ない
3.早期離床が可能(術後早いうちから歩行が可能)
4.入院期間が短い
テレビカメラが先端についた内視鏡を挿入し,さらに細い手術器具を挿入し,テレビ画面をみながら手術を行います.お腹を大きく開く従来の手術と異なり,傷は小さくすみます(傷が全くないわけではありません).傷が小さいので,術後の痛みも少ないです.したがって,術後の早いうちから歩行が可能となります.手術の内容にもよりますが,入院期間の短縮も期待されます.
短所
1.手術時間が長い
2.視野が狭い
3.手で操作する範囲が限られる
お腹を大きく開いて直接手で臓器を持ちながら行う開腹手術と比べると,腹腔鏡下手術では直接臓器に触ることは少なく,ほとんどの操作で器具を使って進めますので,手術時間が長くなりがちです。例えば,開腹手術は丸いビー玉を手でつかむようなもので,腹腔鏡下手術は箸でつまむようなものです.また,内視鏡のテレビカメラで写るところしか見られませんので視野が狭いです.傷が小さいので手で操作する範囲は限られます.
質問2:直腸癌に対する術前化学放射線療法の長所と短所を教えて下さい。
A. 術前化学放射線療法は直腸癌治療の最大の問題点である術後の局所再発(癌摘出を行った部分やその近くに癌の再発が起こること)を減らす目的で、手術の補助療法として行う治療法で、欧米では標準治療となっています。
長所は、
① 治療が難しく、症状がでやすい術後の局所再発が減ります。
② 病巣が小さくなったり、癌の周囲への広がりが小さくなったりすることで切除する範囲を縮小した体への負担が少ない手術(自律神経温存手術、腹腔鏡手術など)ができることがあります。
③ 困難であった肛門を残す手術が可能となる場合があります。
短所は、
① 術前化学療法には約一月半かかり、また治療費の負担が増えます。
② 下痢などの副作用がでる場合があります(重い副作用は少ないです)。
③ 肛門を締める筋肉(肛門括約筋)などの健常組織に放射線が当たることで働きが低下する場合があります(時間とともに改善することが多いです)。
④ 患者さんによっては効果が弱い場合があります。
さらに詳しい点については、「診療の特色」の欄をご参照ください。
質問3:大腸癌化学療法の副作用にはどんなものがありますか
A. 大腸癌の化学療法に使われる薬には、大別して抗癌剤と分子標的治療薬があります。以下、それぞれについて説明します。
抗癌剤
大腸癌で使用される抗癌剤にはオキサリプラチン、イリノテカン、5FUがあります。
以下のような副作用が出現することがあります。
共通の副作用
骨髄抑制
① 白血球減少、好中球減少・・・他の人より感染が起こりやすくなります。(口内炎・気管支炎・下痢・化膿・発熱など)しやすくなります。
② 貧血・・・めまいや全身倦怠感が出現します。
③ 血小板減少・・・血小板は止血作用を有しており出血しやすくなります。
消化器症状・・・悪心、嘔吐、下痢が出現します。
全身倦怠感・・・だるい、疲れやすいといった身体的な疲労感と気力が出なくなります。イライラしたり思考力や記憶力の低下することもあります。
アレルギー反応・・・発疹、じんま疹、呼吸困難、頻脈、発汗、胸痛、腹痛、せき、幅吐、発熱、寒け、不安、血圧低下など症状は多岐にわたり、治療開始直後にあらわれる場合もあれば、24時間~数日後に起こる場合もあります。重篤な合併症として全身の臓器に重い症状を引き起こすアナフィラキシーがあります。
脱毛・・・毛が抜けることがあります。
それぞれの副作用
オキサリプラチン
末梢神経障害・・・手・足・のどのまわりのしびれや痛みが出現します。
5FU
手足症候群・・・手や足にしびれ、ピリピリするような感覚の異常や、やけどした時のように赤くなったり痛みが起こります。
分子標的薬
抗癌剤と組み合わせる薬として分子標的薬抗EGFR抗体(アービタックス、ベクティビクス)、抗VEGF抗体(アバスチン)があります。
共通の副作用
インフュージョン・リアクション・・・分子標的薬の点滴時にみられる副作用で、発熱、寒け、頭痛、発疹、嘔吐、呼吸困難、血圧低下などの症状が出現します。
それぞれの副作用
抗EGFR抗体の副作用
ざ瘡様皮疹・・・好発部位は顔面と前胸部、背部、前腕など体幹上部です。症状が悪化するとそう痒感や痛みを伴います。
皮膚乾燥:・・・皮膚が乾燥し、そう痒などを生じます。また、手指に亀裂が出現することがあります。
爪周囲炎: 痛みや爪の発育障害を伴います。重篤化すると肉芽、膿瘍を合併することがあります。
間質性肺炎・・・肺の間質を中心に炎症を来す疾患の総称です。息切れやせきが主症状として出現します。
眼障害・・・角膜炎を合併し縷々事があります。
低マグネシウム血症などの電解質異常
抗VEGF抗体の副作用
高血圧・・・血圧が高くなります。
粘膜からの出血・・・鼻出血がおこります。
たんぱく尿・・・尿にタンパク質が混ざることがあります。
消化管穿孔・・・消化管に孔があくことがあります。
創傷治癒遅延・・・創がなおりにくくなることがあります。
血栓・塞栓症・・・動脈や静脈内に血栓ができやすくなります。
抗がん剤治療の副作用と発現時期
1日:アレルギー反応、吐き気、嘔吐、発熱、血圧低下、インフュージョン・リアクション
2~7日:疲れやすい、だるい、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
7~14日:口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ、骨髄機能抑制(貧血・白血球減少・血小板減少)
14~28日:脱毛、皮膚の乾燥、手足のしびれ
質問3>
1. 腹腔鏡下手術の長所と短所を教えて下さい.
2. 直腸癌に対する術前化学放射線療法の長所と短所を教えて下さい。
質問1: 腹腔鏡下手術の長所と短所を教えて下さい.
長所
1.傷が小さい
2.痛みが少ない
3.早期離床が可能(術後早いうちから歩行が可能)
4.入院期間が短い
テレビカメラが先端についた内視鏡を挿入し,さらに細い手術器具を挿入し,テレビ画面をみながら手術を行います.お腹を大きく開く従来の手術と異なり,傷は小さくすみます(傷が全くないわけではありません).傷が小さいので,術後の痛みも少ないです.したがって,術後の早いうちから歩行が可能となります.手術の内容にもよりますが,入院期間の短縮も期待されます.
短所
1.手術時間が長い
2.視野が狭い
3.手で操作する範囲が限られる
お腹を大きく開いて直接手で臓器を持ちながら行う開腹手術と比べると,腹腔鏡下手術では直接臓器に触ることは少なく,ほとんどの操作で器具を使って進めますので,手術時間が長くなりがちです。例えば,開腹手術は丸いビー玉を手でつかむようなもので,腹腔鏡下手術は箸でつまむようなものです.また,内視鏡のテレビカメラで写るところしか見られませんので視野が狭いです.傷が小さいので手で操作する範囲は限られます.
質問2:直腸癌に対する術前化学放射線療法の長所と短所を教えて下さい。
A. 術前化学放射線療法は直腸癌治療の最大の問題点である術後の局所再発(癌摘出を行った部分やその近くに癌の再発が起こること)を減らす目的で、手術の補助療法として行う治療法で、欧米では標準治療となっています。
長所は、
① 治療が難しく、症状がでやすい術後の局所再発が減ります。
② 病巣が小さくなったり、癌の周囲への広がりが小さくなったりすることで切除する範囲を縮小した体への負担が少ない手術(自律神経温存手術、腹腔鏡手術など)ができることがあります。
③ 困難であった肛門を残す手術が可能となる場合があります。
短所は、
① 術前化学療法には約一月半かかり、また治療費の負担が増えます。
② 下痢などの副作用がでる場合があります(重い副作用は少ないです)。
③ 肛門を締める筋肉(肛門括約筋)などの健常組織に放射線が当たることで働きが低下する場合があります(時間とともに改善することが多いです)。
④ 患者さんによっては効果が弱い場合があります。
さらに詳しい点については、「診療の特色」の欄をご参照ください。
質問3:大腸癌化学療法の副作用にはどんなものがありますか
A. 大腸癌の化学療法に使われる薬には、大別して抗癌剤と分子標的治療薬があります。以下、それぞれについて説明します。
抗癌剤
大腸癌で使用される抗癌剤にはオキサリプラチン、イリノテカン、5FUがあります。
以下のような副作用が出現することがあります。
共通の副作用
骨髄抑制
① 白血球減少、好中球減少・・・他の人より感染が起こりやすくなります。(口内炎・気管支炎・下痢・化膿・発熱など)しやすくなります。
② 貧血・・・めまいや全身倦怠感が出現します。
③ 血小板減少・・・血小板は止血作用を有しており出血しやすくなります。
消化器症状・・・悪心、嘔吐、下痢が出現します。
全身倦怠感・・・だるい、疲れやすいといった身体的な疲労感と気力が出なくなります。イライラしたり思考力や記憶力の低下することもあります。
アレルギー反応・・・発疹、じんま疹、呼吸困難、頻脈、発汗、胸痛、腹痛、せき、幅吐、発熱、寒け、不安、血圧低下など症状は多岐にわたり、治療開始直後にあらわれる場合もあれば、24時間~数日後に起こる場合もあります。重篤な合併症として全身の臓器に重い症状を引き起こすアナフィラキシーがあります。
脱毛・・・毛が抜けることがあります。
それぞれの副作用
オキサリプラチン
末梢神経障害・・・手・足・のどのまわりのしびれや痛みが出現します。
5FU
手足症候群・・・手や足にしびれ、ピリピリするような感覚の異常や、やけどした時のように赤くなったり痛みが起こります。
分子標的薬
抗癌剤と組み合わせる薬として分子標的薬抗EGFR抗体(アービタックス、ベクティビクス)、抗VEGF抗体(アバスチン)があります。
共通の副作用
インフュージョン・リアクション・・・分子標的薬の点滴時にみられる副作用で、発熱、寒け、頭痛、発疹、嘔吐、呼吸困難、血圧低下などの症状が出現します。
それぞれの副作用
抗EGFR抗体の副作用
ざ瘡様皮疹・・・好発部位は顔面と前胸部、背部、前腕など体幹上部です。症状が悪化するとそう痒感や痛みを伴います。
皮膚乾燥:・・・皮膚が乾燥し、そう痒などを生じます。また、手指に亀裂が出現することがあります。
爪周囲炎: 痛みや爪の発育障害を伴います。重篤化すると肉芽、膿瘍を合併することがあります。
間質性肺炎・・・肺の間質を中心に炎症を来す疾患の総称です。息切れやせきが主症状として出現します。
眼障害・・・角膜炎を合併し縷々事があります。
低マグネシウム血症などの電解質異常
抗VEGF抗体の副作用
高血圧・・・血圧が高くなります。
粘膜からの出血・・・鼻出血がおこります。
たんぱく尿・・・尿にタンパク質が混ざることがあります。
消化管穿孔・・・消化管に孔があくことがあります。
創傷治癒遅延・・・創がなおりにくくなることがあります。
血栓・塞栓症・・・動脈や静脈内に血栓ができやすくなります。
抗がん剤治療の副作用と発現時期
1日:アレルギー反応、吐き気、嘔吐、発熱、血圧低下、インフュージョン・リアクション
2~7日:疲れやすい、だるい、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
7~14日:口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ、骨髄機能抑制(貧血・白血球減少・血小板減少)
14~28日:脱毛、皮膚の乾燥、手足のしびれ