クローン病

クローン病

クローン病とは?

原因不明の肉芽腫性炎症病変が,全ての消化管に,全層性に,区域性に発生する,慢性炎症性疾患です。

クローン病は5万人に到達する勢いです

クローン病は5万人に到達する勢いです

【原因】
原因は不明です.自己免疫疾患説,感染説,食餌抗原に対するアレルギー説,心理的要因などの関与が疑われています。

【発症年齢】
10代,20代がピークです。若年で発症しますが,寿命が延びているために,高齢者のクローン病も珍しくありません。

【診断】
症状は腹痛,下痢,発熱,下血,体重減少,全身倦怠感など多種にわたります.全消化管に発生するため,大腸内視鏡検査,注腸X線検査,小腸内視鏡検査,小腸造影検査,カプセル内視鏡検査,上部消化管内視鏡検査,粘膜生検など多くの検査から総合的に診断します。
主要所見は,縦走潰瘍,敷石像,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫です.他にアフタ(口内炎)性潰瘍も重要な所見です。

【病型】
主に小腸型,小腸大腸型,大腸型に分けられます。

【重症度】
腹痛,便回数,肛門病変,腹部腫瘤,貧血などから算出します。

縦走潰瘍

敷石像

内科治療

◆経腸栄養
◆完全静脈栄養
◆5-アミノサリチル酸製剤(内服,坐剤,注腸)
◆ステロイド(点滴,内服,坐剤,注腸)
◆抗生剤
◆免疫調節剤
◆血球成分除去療法(GCAP,LCAP)
◆抗TNF-α抗体

が病態に合わせて使用されます。

潰瘍が治癒しています

抗TNF-α抗体が奏功して潰瘍が治癒しています

手術の適応

これらは外科治療の適応となります。

◆腸管狭窄
◆瘻孔形成
◆膿瘍形成
◆穿孔
◆出血
◆肛門病変

クローン病狭窄例

Bauhin弁が非常に狭くなり,腸閉塞症状をきたしていました。腹腔鏡下手術で狭窄部を切除しました。

クローン病狭窄例