潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎 width=

概念

原因不明の非特異性炎症が,大腸の粘膜・粘膜下層に,びまん性・連続性に発生する慢性炎症性疾患です。

粗造粘膜
膿性粘液,発赤
陰窩膿瘍

潰瘍性大腸炎患者数

【原因】
原因は不明です。自己免疫疾患説,感染説,アレルギー説,心理的要因などの関与が疑われています。

【発症年齢】
10代,20代がピークです。若年者に多い病気ですが,高齢者発症にも注意が必要です。

【診断】
症状は血便,下痢,腹痛,発熱です。特に血便は粘液が混じったトマトケチャップ様であることが特徴です.便培養検査,大腸内視鏡検査,粘膜生検,注腸X線検査などで総合的に診断します。

【病型】
直腸炎型,左側大腸炎型,全大腸炎型などがあります。ほかに,初回発作型,再燃寛解型,慢性持続型,急性劇症型といった分類もあります。

【重症度】
排便回数,血便,発熱,頻脈,貧血,赤沈から分類します。

内科治療

潰瘍性大腸炎を完治させる内科治療はありません.内科治療の目的は,活動期には炎症を速やかに抑えて緩解導入し,緩解期には再燃を防ぎ,より長く緩解期を維持して患者さんのQOLを向上させることです。

◆5-アミノサリチル酸製剤(内服,坐剤,注腸)
◆ステロイド(点滴,内服,坐剤,注腸)
◆免疫調節剤
◆血球成分除去療法(GCAP,LCAP)
◆抗TNF-α抗体

が一般的です.重症度や患者さんの状態に応じて使用します。
ほかに承認待ちの新薬もあります。

手術適応

これらは外科治療の適応となります。

◆内科治療無効
◆ステロイド依存性
◆大腸癌,高度異形成
◆中毒性巨大結腸症
◆大量出血
◆大腸穿孔

潰瘍性大腸炎の手術

潰瘍性大腸炎の手術

状況に応じて使い分けています。

手術に(外科治療)ついて

1年後の腹部写真

潰瘍性大腸炎に対する基本手術は,大腸全てを摘出して,小腸で造った嚢(ふくろ状のもの)と肛門(管)を吻合します.同時に人工肛門を造設しますが,肛門吻合部に問題がなければ,後日人工肛門は閉鎖します。

 当院では,腹腔鏡下手術を中心に行っています。しかし,緊急を要する病態(穿孔や出血)のときは,その限りではありません。緊急時は開腹で手術を行い,結腸だけを切除して人工肛門を造設することもあります。その場合は,後日,残存直腸を切除します。