逆流性食道炎― 長引く咳症状のときには・・・

2014年1月27日

逆流性食道炎― 長引く咳症状のときには・・・

最近、めっきりと寒くなってきました。
同時に風邪をひく患者さんも非常に多くなっています。
地域の医療機関に診療のお手伝いに行くと、
この時期はたくさんの風邪の患者さんがいらっしゃいます。
風邪はほとんどがウイルスにより引き起こされる上気道、咽頭の炎症で、
冬季には胃腸炎症状を伴うものも多くみられます。

治療としては大半が症状に対する対症療法が主体で、
重篤な持病がない患者さんでは数日で軽快します。

なかには百日咳菌やマイコプラズマなどによる病原菌の感染で肺炎、
気管支炎となり、抗菌薬の治療を要する場合もみられます。

ところが、最近、このような上気道や咽頭の炎症や感染症に対する治療を
行っているにも関わらず、
「なかなか風邪が治らない、咳が妙に長く続いている。」という患者さんがおられます。

患者さんによくよく話を聞くと、
「胸やけがするときもある。」
「げっぷがやたら多い気がする。」などの症状が伴っていることがあります。

このような場合、「逆流性食道炎」という病気が
咳の原因となっていることがあります。

逆流性食道炎とは、胃酸が逆流し食道に炎症をおこしてしまう病気です。
胸やけ・胃もたれが代表的な症状ですが、中には咳という症状もあるのです。
これは胃から食道へ胃液が逆流する際に、
胃液が気管に間違えて入ること(誤嚥)により、咳が出ます。
その咳が喘息の原因になってしまう事もあります。

また誤嚥がなくとも、食道が炎症を起こすので、
反応性に胃液の逆流を拒否しようとした結果として、
咳がたくさん出てしまうこともあります。

逆流性食道炎の原因としては、
食生活、加齢、喫煙、飲酒、肥満、ストレスなど多岐にわたります。
1つのことだけが原因ではなく、
様々な要素が複合して発症することも多いです。

治療としては、咳止めの薬を飲んでもあまり意味がありません。
痰を抑える為の薬を飲むよりも、逆流性食道炎の治療をした方が有効です。
まず胃酸を何とかしないと、咳も痰も治らないのです。

逆流性食道炎の症状は、咳以外にも前述した
胸やけ、胃もたれ、背中の痛み、吐き気、息切れなど形で表面化しきます。

「もしかして?」と感じた時は、
早急にお医者さんに掛かる様にしましょう。
この場合、内視鏡検査ができる医療施設を受診することをお勧めします。

 

藤井 正一

逆流性食道炎とは


Posted by 帝京大腸.com|帝京大学医学部附属病院下部消化管外科 東京都板橋区 at 14:26 / ニュース & トピックス コメント&トラックバック(0)

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