腹腔鏡下手術
腹腔鏡下手術はおなかに5mmから10mmの小さな穴をあけ,細い筒を差し込み,その筒を通して手術用の器具を出し入れして行います(図1,2).おなかの中にきれいな炭酸ガス(CO2)を注入し,おなかをふくらませます.炭酸ガスは燃えることもなく,早期に吸収され,害がほとんどありません.腹腔鏡カメラを入れて,手術室内のテレビモニターに映し出された映像をみながら,腹腔鏡下手術用の器具を用いて手術を進めます(図3).
手術担当の外科医が直接臓器を手で触れることなく行いますので,医師にとって難易度は高く,時間もかかります.しかし当科では腹腔鏡下手術を積極的に取り入れており,映像機器や手術器具の進歩とともに,安全性の向上や手術時間の短縮化がみられています.
患者さんにとって最大の腹腔鏡下手術の長所は,きずが小さいこと,術後の痛みが少ないことです(図4).患者さんの喜ぶ顔をみると,手術の疲れは吹っ飛びます.
ただ,すべての患者さんに腹腔鏡下手術が可能というわけではありません.病気の状況や癒着の程度などによって,はじめから大きく開腹する手術を行う場合や,腹腔鏡下手術で始めても途中で開腹手術に変更する場合があります.
図1
図2
図3
腹腔鏡下手術
開腹手術
図4